モンスターハウスすごくないですか?

久しぶりにブログみたけどなにこれこわい

 

 

水曜日のダウンタウン」の企画でクロちゃんをメインに捉えた「モンスターハウス」というものがありまして、先日27日に完結を迎えたわけですが、その内容が壮絶だったのでとてもテンションが上がってました。

 

・「モンスターハウス」とは

テラスハウス」という恋愛リアリティ番組のパロディ企画です。

メンバーは本家に寄せて美男美女、そしてクロちゃん。

クロちゃんの変態的な行動の数々がオシャレな映像と共に流れるのはなかなか気が狂っています。そんなことはどうでも良くて話したいのは結末のとこなのでカットしますね。

 

彼は全員にアプローチして最終的に告白した女性に生放送でフラれてしまいます。問題はそのあとです。

彼の今までした変態的な行為を踏まえた上で「国民投票」と称してTVのデータ機能を使った投票を行います。選択肢は「許す」か「許せない」の二択です。「許せない」のパーセンテージに応じた時間、クロちゃんはとしまえんに収監されるという罰が与えられます。TVのボタンが他人に実害を与えられるの完全にSFだ......。

 

 

モンスターハウス」は(台本がある無しは一度置いておいて)本人が本人役として登場するノンフィクション作品です。それをカメラワークと演出でドラマ性を持たせています。これは「テラスハウス」の功績ですね、「モンスターハウス」はそれを踏襲しています。

視聴者はテレビというレイヤーを一枚挟んで「モンスターハウス」を一方的に享受し、その後の投票で視聴者も企画に加担する事になります。いわゆる視聴者参加型ってやつですね、これも今までになくはないスタイルです。その次の展開にびっくりしました。

クロちゃんが檻に入った姿を視聴者が現地で実際に見ることが出来るのです。これがすごい。

 

 

・物語と現実の越境

ドラマ風に見立てたリアリティ番組はどちらかというと事実ではなく物語として消費されます(ニュースというよりはアニメやドラマとして消費されるという事)(要検証)

つまりクロちゃん役のクロちゃんのドラマを見ているわけです。

その物語の展開に投票という形で視聴者が影響する事が出来て、その上で現実の場所で収監されたクロちゃんという形で確認することが出来ます。この現地へ行く事を他の言葉で表すなら「聖地巡礼」でしょうか。

本来聖地巡礼してもキャラクターはいません。沼津に行ってもアイドルはいないし、大洗に行っても戦車はないし、西荻窪に鳩羽つぐは......それはわかりませんね。

しかし、としまえんに行ったら確かに収監されたクロちゃんがいるわけです。いわば東京駅に凝固されたゴジラが居るようなものですね。

 

テレビ一枚隔てて物語(少なくとも物語の様に演出された事実)として享受されてきたものが、自分たちがリモコンのボタンを押して影響を与え、現実でその結果を確認できる。これは物語にとって一つ理想の形の様に僕は思いました。

オタクなのでアニメの例えばかりしてしまうのですが、例えば「ラブライブ!」ではキャラクターの中の人がMVと同じダンスをする事で現実と物語の境界にアプローチをしました。

他にも「Wake Up, Girls!」ではそこから一つ進んでキャラクターの名前と個性を中の人に寄せて境界を崩そうと試みていました。少なくともヤマカンはそうだったと思ってます。僕はI-1がWUGを吸収合併した先が見たかった......。

 

本筋に戻しますが、色々な作品が様々な手段を使って現実にアプローチして来ました。ドラマでさえそうです。「孤独のグルメ」の様に実際の店舗に足を運ぶ作品もあります。ですが、作品を見て実際に足を運んでも井之頭五郎はいない訳です。

その点で「モンスターハウス」は物語と現実を越境したすごい企画だったと思います。視聴者に多大な没入感を与える事に成功したこの企画は(誰もが予想しただろう結果ですが)中止という形で終わります。これもある意味凄い。

 

 

・インターネットの悪意

匿名性がある(少なくともあるように見える)SNSは常在戦場と言わんばかりの罵詈雑言で溢れています。もちろんゾーニングすれば関係は無いのですが、それでも溢れてくる批判や中傷の数々は匿名性の高さ故引き金が軽いのだろうと言わんばかりです。

そして、今回の「国民投票」もデータ放送という匿名性の高い形で行われており、それまでに流れていた本編の内容とワイプの反応も相まって「許さない」に約265万票(実際の数値かは不明)集まりました。

 

そもそも「水曜日のダウンタウン」内でクロちゃんはクズなキャラクターです。実際かどうかは置いておいてそのキャラクターを暴露する形の企画が多いです。

その企画がクロちゃんは悪なので暴言を吐いてよいという印象を不幸にも与えてしまいます。結果として、Twitter内でクロちゃんのツイートに付くリプライはどれも罵詈雑言に溢れています。

正直この程度ならインターネットによくある話なのですがその後が問題です。

 

としまえんに収監され直後に無料公開が始まりました。そこに視聴者が殺到したくさんのトラブルが発生し、警察が出動し、中止になります。つまり、インターネットの悪意を現実に降ろすことに成功するのです。

インターネットを守る弁護士やaiueo某みたいな前例もありますがそれはあくまで誰の手も介さず自身が起こした行動が自身のミスで暴かれる流れでした。ですが、これはテレビ番組が誘導する形で発生したものになります。

虐殺器官」や「CURE」と言った作品で他人に影響を与える言語が出てきます。それは他人の感情に作用して殺意を誘発するものです。「水曜日のダウンタウン」はこれを近い形で現実に起こしたようにも思えます。完全にSF......。

 

 

・てきとう

物語を現実に引き下ろした上に、インスタやTwitterで視聴者が物語の続きを撮影して再生産できるとこも凄いし、人の行動を誘発するとか完全にSFな企画なのもすごい、その上で頭のおかしい企画だなと思いました。