「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」雑感

夏もそろそろ終わるこの時期に男二人で「か・け・お・ち」なんてセリフが出てくる映画を見に行きました。鑑賞後に自分が映画の感想をオタク特有の早口で捲し立ててしまったので猛省しながら記事を書きます。 

 

1.岩井俊二監督のオリジナル版の話

もともと『打ち上げ花火 ~』オムニバス形式のドラマシリーズ『if もしも』という作品の1つでした。放送後に反響を得たのでこの話だけ再編集され劇場版として上映される運びとなりました。細かい事はWikipediaに大体概要が書いてあるので読んでください。

このドラマシリーズでは下の様な話の構成になっています。

ストーリーの途中で2つの選択肢「A」と「B」が発生。それぞれを選択し、その結果変化していく2つの物語を順番に、場合によっては交互に描く。

「A」がバッドエンド、「B」がハッピーエンドという構成が基本となるが、放送後半には両方ハッピーエンドやバッドエンドという物も増えている。

if もしも - Wikipedia

 この作品もそのルールに大まかに沿った形で主人公の典道をはじめとした少年たちの成長物語をジュブナイルを想起させる画作りで描いています。

本編自体はドラマだったという事もあり50分と非常に短いのですが、その中で好きな子を「あんなブス好きなわけねーじゃん」と言ったり、女の子との約束より男の友情を取る小学生らしさが表れているので、視聴後は「あの頃はああだった...」と感傷的な気分になる事は間違いないです。

なずな役の奥菜恵さんがクライマックスにプールで見せる妖艶な姿はとても胸に来るものがあります。

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まさに美少女ですね。

オリジナル版はhuluで配信されているので加入されている方は是非見てください。 

www.happyon.jp

 

2.タイトルについて(個人的見解)

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』という題名は初期の段階では少年たちは花火を横から見たかった』でした。この題名をみると恐らく横から見るという事が重要なんだと分かりますね。続いて本編に何度も出てくるある疑問について見ていきましょう。

「花火ってさ、横から見たら丸いと思う?平べったいと思う?」

この疑問から始まり少年たちは町から遠く離れたところにある灯台を目指す計画を立てるという風に展開していきます。その一方でなずなとの駆け落ちの話があるのですが題名の意味について考えるならやはり疑問を始めた少年たちの物語にフォーカスするのが一番でしょう。

少年たちは灯台へ行く道中で喧嘩をして、好きな人の名前を叫びます。短い尺なのでそれしか映像になっていませんが夕暮れ時から夜になるまでの間中歩いているので恐らくとても長い距離なのでしょう。少年たちが長い距離を歩きながら、色々な事がありながら、成長をしていく。所謂ロードムービーがこの作品の一側面としてあるわけです。

このロードムービーの起点が「打ち上げ花火を横から見るとどうなるか?」という事を改めて考えると何となく意味が見えてくると思います。

少年たちは小学生なので出かけられる範囲も狭く、今まで下から見る事しかできませんでした。それを「打ち上げ花火を横から見るとどうなるか?」という疑問を通して成長していきます。題名はその過程をコンパクトに表しているのではないでしょうか?

打ち上げ花火は成長譚の為のマクガフィンという訳ですね。

 

3.アニメ映画「打ち上げ花火 ~」での変更点

前置きが恐ろしく長くなりましたがここからが最近公開されたアニメの方です。

シャフトの新房昭之さんが総監督、渡辺昭夫さんがキャラクターデザイン、そして脚本が大根仁さんですね。本編は90分とオリジナルより長く、『if もしも』から完全に独立した影響でたくさんの変更点があります。

・別の選択肢を描くために「もしも玉」という道具を登場させた

・オリジナル版に加え「ループもの」というSF要素を加えた

・登場人物の年齢を中学1年生にした

・建築物が全体的にシャフト特有のオシャレっぽさにリフォームされた

・なずなもプールで競争する

大体こんなところでしょうか、クライマックスの「観月ありさ~~」は同じでしたね

 

4.雑感

全体としてはジュブナイル要素がシャフト特有のオシャレ空間で弱まった感じはありますが、尺が伸びた事とシャフト特有の表情アップでキャラクターがオリジナルより豊かになっていました。

ストーリーはループ物と恋愛の部分が強くフォーカスされていて友情の方はあまりない様に感じました。

シャフトのおしゃれ建造物は学校を始め「ループ」を意識した円状の物が多く、途中の電車の線路が切り替わるルートも「ループ」を意識したカーブだったりと主軸に合わせたデザインになっていましたね。主人公の家にこれ見よがしにローソンストアの看板が置いてあったのと主張しすぎな螺旋階段は笑いました。

ただこうしたオシャレ空間にしている割にレトロゲーム(厳密には最近発売のFC用ゲーム)をプレイする典道、松田聖子の曲を歌うなずな、観月ありさの名を叫ぶ稔など原作のジュブナイル感を取り入れようとしていたのでどっちつかずになっているように見えました。特にテレビの上にあったKinectらしきものが気になりました。

広瀬すずさんが演じるなずなの声は最初は気になりましたが物語が展開するにつれ気になる事もなく、むしろアニメらしい声じゃないからこそなずなのキャラクターを引き立てていて良かったです。

 

5.まとめ

なずなが可愛かったです。浴衣から着替えるシーンとかとてもえっちでしたし、白いワンピースもとても似合っていましたね。あとプールのシーンのなずなもめちゃめちゃえっちでしたしなずなが可愛かったです。見てください。

 なんだか雑感の方が短い記事ですね...。

 

 

メモ書き

もし次見ることがあったらホームと電車の境界線、道路と花畑の境界線のアングルに意識、あともしも玉、目玉、花火など球のモチーフに意識、KinectKinectなのか等小物を見る